伸びる会社、伸ばす経営
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作成日:2017/04/01
【第8回】危ない経営者⑹「ネクラマン」



 当シリーズの最終バッターは「ネクラマン」である。物事を考えるとき、常に
マイナス面を見つめるクセが染み付いた人のことをこう呼ぶ。大変に慎重な態度
であるのは決して悪くないが、マイナス発想の言動が過ぎて、まわりのヤル気に
水を浴びせることになりがちで、注意を要する。

 ある中堅企業が業績不振に陥りかけている頃、2代目経営者と個人面談を行う
ことになった。当時40代半ばで社長業3〜4年を経過していたが、その発言には、
大変驚かされた。「うちの会社がなくなっても誰も困らないと思うんですけど」

と語ったのだ。亡くなった先代のときから時代環境が大きく変わり、扱い商品も
一気に低迷している中とは言え、社員にはとても聞かせられない内容だった。

 「今のままでは存在価値がなくなる。発想を変え、やり方を変え新しい価値ある
企業に変身しよう」と訴えかけその基本ストーリーを示すことがトップの役割で
ある。ピンチにひるむことなく、危機感を共有した上で経営改革に着手すること
が大切で、弱音を吐いて「ネクラマン」に止まっていられないのがトップを筆頭
とする経営者の宿命なのだ。

 プラス発想で「ピンチをチャンスに変えられる」ほどに逞しい人はいつも物事
をプラス面から見た発言をするクセがある。これを「プラス語」と呼び、例えば
「太っている→立派な体格」「あわて者→行動力抜群」「立地が悪い→目立たず
静か」「特長がない→伸びる余地がある」「ベテラン不足→若手充実」のような
具合である。同じ現象でも、とらえ方で次の前向きなアクションに繋がって来る。

 「ヤル気、元気、景気」などと、何事にも前向きな「気」やムードが後の発想
や行動に大きく影響を与える。最悪の事態に備える慎重な対応をしても、決して
委縮することなく、明るい表情・態度を堅持し、未来に向かうことが大切である。

  〈今回のまとめ〉「繊細で大胆」
 細かい点を気にかけ、慎重でナイーブであるが、腹をくくった決断やプラス
発想ができる大胆さを持つこと。準備段階は悲観的に考えた対応策を講じる
が、事が始まれば「運を天に任せる」ぐらいの楽観的な構えで臨むことだ。

 根拠のない「カラ元気」は要注意であるが、いたずらに「マイナス発想の
トリコ」に陥らないこと。「山より大きなイノシシは出ない」のである。
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