伸びる会社、伸ばす経営
伸びる会社、伸ばす経営
作成日:2016/12/01
【第4回】危ない経営者⑶「専門バカ」



 3番目の危ない人物は「専門バカ」というタイプである。嫌なネーミングだが、
ある専門分野に精通していることが逆に視野を狭くし、物の見方・考え方が少々
いびつになった人を意味する。エキスパートとしての優秀さは疑う余地もないが、
その専門性が仇となり間違った判断を引き起こすことになりがちだ。

 〇〇職人や△△プロと呼ばれる人は、特定の狭い領域を長期にわたり深く追求
することで固有の技を磨く。脇目も振らずに突き進み専門分野を極めるのが使命
である。だが、経営者はまるで車のドライバーのように、安全で快適に走行する
ために、正しい運転技術に加え、車体の調子、交通ルール、道路事情、天候変化、

自分自身の体調など、多くのことに気を配りながら実践することが必要になる。

 何よりも、どこに向かって進むのかがハッキリしていることが大切。つまり、
事業と経営の目的を克明に描き、到着するための優先順位、具体的な取組み方法
を確立し実行することだ。ところが「専門バカ」は例えば、腕の良い消化器外科
のドクターが「胃の手術に成功して患者が死ぬ」というように、本末転倒の愚を
犯すことになりかねない。大目的を忘れ、自分の専門技術にのめり込む訳だ。

 技術や商品は大事であるが経営ではない、営業も開発も経理も人事も一部分で
あり経営ではない。経営とは各要素を束ね、環境変化を機敏に先取りし、世の中
のお役に立ちながら成長できるように舵取りして行くことである。その目的の下
に何を優先し、どう手を打つか、骨太の方針を決め制御することが求められる。
究極は、顧客満足と利益確保を継続的に実現できるように自分磨きに挑むことだ。

 「うちの商品の良さのわからない客は、客じゃない」「私はこの道、何十年も
やっている、この方法が一番だ」などの捨てゼリフ、決めゼリフは禁止である。

 〈今回のまとめ〉「こだわりとバランス感覚」
 マネジメント(経営)は部分ではなく全体を扱う。正しい目的と目標に向かい、
正しく対策を立て邁進することが重要である。つまり部分最適ではなく全体最適
を考える大局観とバランス感覚が必要になる。狭い深堀りの縦軸に加えて、広い
視点の横軸をもつ、文字で言えば「Tやπ」のようなスタンスを保つことだ。
  専門家としての良いこだわりを持ちながらも、広い視野を忘れないことである。
お問合せ
税理士法人白川会計
〒849-1311
佐賀県鹿島市大字高津原750
TEL:0954-63-4171
FAX:0954-63-4176
メールでのお問合せ

相続