作成日:2019/10/01
【第38回】3拍子の対策〈戦略発想〉⑴「企業戦略」
戦略のミスは戦術・戦闘でカバーできない。戦略とは戦いの大きなフレームワークで あり、「企業戦略、事業戦略、経営戦略」の3つからなる。中でも企業戦略は企業体質を 良くする大事な方策として「3つの性」(生産性・人間性・社会性)を充実することになる。 1.生産性(効率の良い会社) 投入したヒト・モノ・カネの経営資源に対し、産まれる付加価値の度合いのこと。一般 には社員1人当たりの付加価値や利益で表し、他に設備1台当たりの生産量、床面積1u 当たりの売上、経費1円当たりの利益などがある。業種や部門により、最も分かり易く、 コントロールし易い尺度を選ぶ。生産性が高いほど経営効率が良く安定する。反対に低け れば、会社の存続が危うくなるし、社員の幸せも実現せず、社会貢献もできなくなる。 生産性向上のポイントは、基準を決め事業、商品、人材の効率を高めること。つまり、 高利益率、高回転率、ローコスト・ハイバリューの観点で取捨選択することである。 2.人間性(働きがいのある会社) 生産性を上げる一方で、社員の働きがいを向上することが人間性の充実。そのためには 社員から見た幸せ目標を明らかにする必要がある。最も大きい柱は賃金水準だが、他にも 時間、健康、趣味、教養、レジャー、人間関係、資産形成など、様々なことが考えられる。 目標を設定するときには「35歳モデルで年収800万円の社員をつくる」とか「3年後には 年間120日の休日を実現する」などとやる気が出るように具体的に掲げる。更に出来れば 高生産性・高賃金のプロの処遇制度へとリンクさせることを検討する。 3.社会性(公明正大な会社) 社会への「お役立ち」の具体的な姿の標榜である。法令順守は勿論のこと、顧客満足、 株主満足、社会貢献を実現する度合いのこと。この社会性を柱とする、企業戦略の構築の 仕方によっては、今後の命運を大きく左右することになる。事業・経営の内容を問わず、 企業そのもののダイナミックな転換策となる。例えば、後継者がいないために会社を売却 する。不振事業を切り離したり、逆に補強事業を買収するM&A。また株式上場に取り組 んだり、社名変更、トップ交代などがあり、前後で状況が一変することになる。 |
〈今回のまとめ〉「3つの性の相互作用」
生産性を向上することで人間性を豊かにでき、社会性も広げることが出来る。また 人間性が充実すれば、更に高い生産性にチャレンジすることが出来るものである。 「生産性⇔人間性⇔社会性」と相互に良い影響を与えながら体質が良くなることに 着眼して、会社そのものをどうするかを考えるのが企業戦略である。事業や経営の 形態はさて置き、会社の有り様を大きく変化させうる重要な戦略である。 |