作成日:2018/05/01
【第21回】不変の対策⑿「算用力」
そろばん(計数、計算)による損得勘定を合わせることと、転じてバランスをとる ことを算用(さんにょう)と言い、その実践力を「算用力」と呼ぶ。このパワーが 経営の成果に多大な影響を与える。自社の現状を確認し改善・強化を図りたい。 1.損得勘定を合わせる ⑴生産性…経営資源の単位当たりの成果のモノサシを持ちコントロールする。 例えば従業員1人当たり年間経常利益100万円、床面積1u当たり80万円、 1時間当たり生産高300個、営業員1人当たり月間粗利益200万円など。 ⑵利益率…粗利益率40%、経常利益率10%などと収支効率の目標を設定する。 特に営業利益率がマイナスの場合は本業が成り立っていない危機的状況だ。 ⑶投資効果…投下資本に対しどれだけの成果を産んでいるかを見る。例えば 使った費用に対し、いくらの売上・利益の捻出に繋がったか、また設備投資 を行う時にどのような回収予定を見込めるかで投資の可否を決めるなど。 2.バランスをとる ⑴攻めと守り…得点を稼ぐことばかりでなく、失点を防ぐことにも意を注ぎ、 しっかりと対策を講じておく。また逆にブレーキばかり踏んでいては、肝心 の目的地に辿り着けない。販促・開発のアクセルも適時に実践し強化する。 ⑵過去と未来…現在の仕事内容を分析した時、過去と未来のウェイト配分が どうなっているか。過去から積み残しの仕事に追われてばかりでなく、未来 への仕事(開拓、開発)も増やしておかないとやがて苦しくなる。 ⑶規模と中身…いたずらに規模を追いかけずに中身(内容、質)にシッカリ目を やり充実を図ること。中身を伴わずに規模だけが大きくなると大変危ない。 伸びる会社は中身もバランスよく伸びる。規模だけ大きくなり過ぎ、中身が 追いつかないアンバランスが続くと様々なトラブルに見舞われがちになる。 会社も人間も同じであり、長生きは体質強化と安全行動で決まるものだ。 |
〈今回のまとめ〉「膨張でなく成長」
メタボが言われて久しいが、身長と体重などを診て体格のバランスを調整する ことが推奨される。WHOではBMI値が30以上を肥満とし警鐘を鳴らしている。 体質を伴わずに体格だけ伸びることは「膨張」であり、個人も会社も要注意だ。 BMIのような計数値を使い体のバランスのとれた「成長」を維持することが大事 であり、まさに算用力によるセルフコントロール機能の発揮である。 |
※WHO=世界保健機構 ※BMI=体重(s)/身長(m)の2乗