作成日:2018/03/01
【第19回】不変の対策⑽「人間社会の原則」
時代がどのように変わっても、決して変わることのない企業原則の中で「人」 にスポットを当てた重要なものを3つに絞って取り上げたい。日常の経営現場に おいて、格言としてよく使われるものであり、ぜひ有効に活用して頂きたい。 1.「人は低きから高きに流れる」…水は高い所から低い所に流れるが、人は今の 状態よりももっと良いレベルを求めて動こうとする。従業員、顧客、仕入先を 問わず、人は自ら抱える不満足な事柄に対して、何らかの改善を求めるもので ある。そのことを熟知して先手で対応を図ることが大切で、出来るところから 漸次実行に移し、時間のかかるものについては将来構想として示すことだ。 2.「ソロバン7割、人間関係3割」…人が物事を選択する時、一般的な判断基準は 損得勘定が70%となり、義理・人情の30%を大きく上回るという経験則。 いくら深い人間関係上の付き合いがあったとしても、最後は大方の人が自分の 損得で考えて、損になる道を選ぶことは少ない。「長い付き合いだから」とか の思いで高をくくっていると苦い思いをすることになるので注意を要する。 3.「人は信用しても行為は別」…見た目や履歴からある人物を信用しても、また 過去の実績があったとしても、その人が将来する行為は別物だということ。 見た目と中身は必ずしも一致しないし、人間はTPOにより変心することがあり 条件が整うと魔がさすこともある。従って、その観点に立った上で不正防止策 を講じておくことが必要だ。例えば次のような対応策を考える。 ⑴不正請求:ルールの再徹底、事前申告制、渡し切り制、経理チェック強化 ⑵売上代金の横領:取引明細書の発行、現金回収の中止 ⑶備品、切手等の窃盗:施錠保管の徹底、切手・収入印紙の適正購入と記録 ⑷割戻金(リベート)の着服:覚書書の事前交換、担当者の定期的交替 ⑸機密情報の漏洩:USBメモリーの使用禁止、データのパスワード保護など ※善良な人を罪人にしないように周到な歯止め策を予め構築しよう。 |
〈今回のまとめ〉「ノウハウとノウフウ」
様々なノウハウが会社に蓄積されている。しかし、そのノウハウを使ったり さらに磨いて行くのも、すべて人がやる。ところが、その人が十人十色と言う ように大きくバラついて存在している。各人の素質・環境・教育レベルを良く 見極め、業務の担当者として誰を選ぶか(ノウフウ)の眼力がより重要になる。 「人、人、人」の経営ではノウフウと補完システムづくりが決め手である。 |