作成日:2017/06/01
【第10回】不変の対策⑵「創業の精神」
事業も10年、30年、50年と年数を重ねる間には、もうこれ以上の継続はムリ かも知れないと思うような、危機的状況に陥ることもある。そんなとき、忘れて ならないのが「創業の精神」だ。それは言わば「ないないづくし」の精神であり、 金なし、人なし、実績なし、信用なし、まさに何もないような状況の中にあって 「ようし、やってやる」と燃えていた情熱、想い、魂のことである。 また、「○○でお役に立ちたい」「こんな困った人や組織を助けたい」という 使命感にもつながっていたはずだ。ところが実績が上がり、金や人や信用も増え て来ると、経営者の老化や交代なども手伝って当初の想いや志が薄れる。言わば 「ありありづくし」の状態が健全経営への道程を邪魔するようになる。 「危ない経営者」の危ない思考・行動習慣に気をつけながら、「伸ばす経営」 にシフトするとき、推進力となるのが「創業の精神」というチャレンジ魂である。 「初心忘るべからず」であるが、特に創業者の後を継いだ後継経営者は、自らが トップになるころには創業から数十年経過しており、通常は自分自身の創業体験 もなく、大きな注意が必要になる。 第8回の「ネクラマン」社長が言い放った「わが社がなくても誰も困らない」 という敗北宣言は厳禁である。時代・環境変化によりミスマッチを起こすように なった現状から、いかに「第2創業」を成し遂げるかが問われる。ゼロからより もっと厳しいマイナスからの継承で、初代の社長以上に「チャレンジ魂と使命感」 を燃やさなければ、とても乗り越えらない状況に臨むわけだ。 「創業は易く、守成は難し」と言われる。どんな苦況にも果敢に立ち向かい、 乗り越えて行く「第2創業的な継承スタンス」がプロの後継者には求められる。 義務感ではなく主体的に取り組み、自分自身の大きなヤリガイにして頂きたい。 |
〈今回のまとめ〉「Stay hungry,Stay foolish」
2005年6月、アップル創業者スティーブ・ジョブズ氏が米国カリフォルニア州の 私立スタンフォード大学の卒業式に招かれ、学生たちに贈った15分間のスピーチの 中にある有名な言葉。その意味は「今のひもじさと愚かさを失うな。それこそが、 いつまでも成長できる若さである」。これはまさに「創業の精神」のことであり、 ハングリーかつ純粋なチャレンジ精神の大切さを述べている。 |