作成日:2019/11/01
【第39回】3拍子の対策〈戦略発想〉⑵「事業戦略」
「どこの誰に、何を売るのか」という「商品と顧客の組み合わせ」に関する意思決定の 進め方であり、言わば「勝てる場の発見」を行うのが事業戦略である。模索する方向とし ては「垂直展開、水平展開、多角化」の3つがあり、次のような着眼が必要となる。 1.垂直展開(狭く深く) 対象とする顧客を「狭く絞りながら、品揃えを深く垂直に掘り下げて拡販する」こと。 例えば、女性客の靴の販売から、ベルト、バッグ、小物品、帽子、アクセサリーと女性の 総合服飾販売に転身するケース。また、ヤング女性だけでなく、対象年齢層を上昇させて いくケースも「女性」を年齢で層別しながら垂直展開するケースである。年齢によるだけ ではミスマッチ・リスクがあるので、様々なニーズやウォンツを捉えて絞ることも多い。 2.水平展開(浅く広く) 現有の商品を「浅い品揃えで、客層とニーズを絞り、効率的に市場拡大を図る」こと。 例えば、県内から県外、国内から海外へと対象エリアを広げていく戦略が代表的である。 エリアだけでなく、自家消費市場からギフトマーケット進出、有店舗販売から無店舗販売 への移行、洋食マーケットから和食マーケットへの拡張などのように、顧客、販売方法、 商品を水平に広げていくこともこれに当たる。 3.多角化(斜めに跳ぶ) 自社にとってまったく経験のない商品と市場に進出する「斜めにジャンプする」戦略。 例えば、鋼材加工会社が遊休地を活用すべくコーヒーショップを開業する、建設会社が 2階の空き部屋を使い学習塾事業に参入するなど。ノウハウ、人材不足を補うためにFC (フランチャイズチェーン)に加盟することが多い。オーナーの哲学が事業理念と一致する こと、本業に余力があり、ゆとりを持って取り組めることが理想である。「溺れる者は ワラをもつかむ」ような状況では極めて難しいのが、この土俵の選択である。 ※事業戦略はこのコーナーの第26回で述べた「STP」の応用となり、@市場の細分化、 A標的市場の設定、B自社の位置づけ、の3つを明らかにすることである。 |
〈今回のまとめ〉「3次元の事業展開」
伸びる会社の事業展開は3次元空間で視野広く考えることが大事。標準的なものは 商品、顧客、地域の3次元であり、地域を限定すれば商品軸と顧客軸の位置をどうす るか、商品限定なら顧客軸と地域軸の選び方である。選んだ空間の近くに他社の影 がなければ優位な商いが出来る。ただし、提供したい商品やサービスに対する潜在 需要が確実に存在すること、そして掘り起こしが大いに望めることが大前提だ。 |