作成日:2019/08/01
【第36回】3拍子の対策〈バランス〉⑵「技」
「理念、信念、執念」と心を充実させながら、プロの経営者としてのステージを着実 にステップアップするには、現実に実際の「技」が必要になる。磨くべき「技の3拍子」 は「固有技術、管理技術、社会技術」で表すことができ、詳細は次の通りである。 1.固有技術(テクニカルスキル) 「考える、話す、書く、計算する」の基礎力と、職種別に磨く専門力のことであり、 事業の根幹をなす技術である。メーカーであれば、開発、製造に関わる専門技術で あり、例えば機械メーカーならアイデア、企画、設計、加工、塗装、組立、据付、 試運転、メンテナンス、解体、リサイクルなどにまつわるもの。流通業であれば仕入、 販売、物流、情報、金融、小売業ならこれに店舗、接客などが加わり、サービス業で あればサービスメニュー、サービス品質に関わるノウハウとスキルなどがある。 2.管理技術(マネジメントスキル) 固有技術の向上を含め、商品・サービスをマーケットに良き品質・コスト・納期で提供 するためのPDCA(プラン→ドゥー→チェック→アクション)のサイクルを5W2H(いつ、 どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、いくらで)で決めながら回すことが基本。特に 計数管理による客観性と、早め早めに対策を打つ先行管理の技術が重要である。優れた 固有技術があっても、この管理技術が弱いと継続的に成果を出すのが難しくなる。 3.社会技術(ヒューマンスキル) 社内外の人心を動機づけるヒューマンスキルのことであり、主にコミュニケーションに 関する技術である。「心の琴線に触れれば、金銭のひもを緩めてくれる」と言った人が いたが、言い得て妙である。組織も個人も社会(周りの人々)の賛同・協力がなければ、 上手くやっていけない。人と社会に「正しく、優しく」接するスキルであり、職場では 「仕事に厳しく、人には優しく」をモットーに臨みたいものだ。例えば次のように。 ⑴部下…やって見せ、やらせて、長所を認め、叱る・褒める・教える、を実施する ⑵顧客…性格・特性をつかみ、原則「Yes−Yes法」や「Yes−But法」の話法を選ぶ ⑶クレーム対応…誠意を示し、懇切丁寧に事実を整理し、お詫びと対策を示す |
〈今回のまとめ〉「π字型の人と組織を目指す」
「π」の字は、横に「ー」、縦に「I」と「L」の字から出来ている。「ー」を幅 広い管理技術、「I」を深い専門の固有技術、「L」を人を動かすリーダーシップ の社会技術と見なし、整った人を「π字型人間」と呼ぶ。成果を高めるために3つ の技術をバランス良く充実した人づくり、組織づくりに挑みたい。個人もチームも 理想像を「π」に置き、強化すべき技術を明らかにし、能力開発に取り組もう。 |