作成日:2019/05/01
【第33回】3拍子の対策〈リーダー〉⑵「統率力」
プラス発想を身につけながら、次にリーダーが磨くべきはリーダーシップ「統率力」の 3拍子である。それを構成する要素と強化を進める順番は1.愛情力、2.判断力、3.影響力 であり、この3つのパワーが不十分だと部下を正しく動かすことは出来ない。 1.愛情力 誠実な関心を持つ力である。部下を正しく統率しようと考えるなら、部下は育てる対象 であり、かけがえのない大切なパートナーであるという認識が不可欠である。その上で、 元気でやっているか、成長しているか、悩んでいないか、頑張っているか、伸びているか といった関心を誠実に向ける、これが愛情力である。誠実な関心を持たずに、上司という 権威や権力により部下を動かそうとしても空回りするだけである。人の上に立つ者はすべ からく「部下のための自分」というスタンスが必要だ。部下をまるで自分の所有物のよう に"扱う"上司は最初の第一歩を間違えており、良いリーダーシップの発揮は望めない。 2.判断力 物事の本質をつかむ力である。様々な問題を解決するための前提になる能力であり、 経営に限らず、人間や社会を大局的に把握できる「現状認識力」を高める必要がある。 とりわけ部下に対しては、六ゲン主義(現実、現場、現品、原理、原則、原点)に立ち、 事実をもとにその能力や実績を的確に判断することである。また部下が示す短所の裏 にある長所をしっかり見定め、それを活かす指導を行うことが大事である。 3.影響力 他人に影響を与え動かす力である。愛情力と判断力をもとに、実際に部下を動かすとき のコミュニケーション能力であり、それは言葉、声に表情・態度を加えた総合的なパワー を意味する。例えば自分の指示が上手く伝わらないとき、受信機側(部下)の問題ばかりを 取り上げるのでなく、発信機側(リーダー自身)の課題にも目をやるべきである。具体的に 言うと、自らの率先垂範を大前提にした上で、言葉選び、発声、話し方、顔つき、身振り 手振りの良し悪し、などを総点検し改善を図ることである。 |
〈今回のまとめ〉「長所を叱る」
人の長所と短所は表裏一体の関係にある。「せっかち」の裏に「行動力に優れる」 という特質があるものだ。短所サイドから部下を叱る上司が多くいるが、まず長所 をシッカリ認めたうえで、裏側にある短所のために、その長所が生かせないことが 悔しい、という叱り方を「長所を叱る」と言う。「やる気」を喚起する正しい動機 付けのコツであり、具体的には「折角の長所が生きないぞ」という風になる。 |