作成日:2017/10/01
【第14回】不変の対策⑹「守り(リスク管理)の基本」
いくら得点を稼いでいても、守りに大きなミスが出るとゲームに負けてしまう。 やはり経営も、手際よく攻めながら鉄壁の守りの体制を作っておきたいものだ。 守り=リスク管理ととらえた基本対策は3つのリスク、3つの対策で整理できる。 1.〈3つのリスク〉「みえる・さぐる・つくる」 ⑴みえるリスク…資金が足りない、社員から辞表が出た、顧客の苦情が増えた 等々、目の前に現れ放置できないリスク。「早く火を消さないと」 ⑵さぐるリスク…同じようなタイプの問題がよく起きる。色々対処して来たが モグラ叩きのように消えてはまた顔を出す。「抜本策を打たないと」 ⑶つくるリスク…今は、さほど大きな問題もなく順調に経営が進んでいる。 でも、本当に大丈夫か、何か隠れてないか。「万が一の時に備えて」 2.〈3つの対策〉「捨てる・改める・加える」 ⑴捨てる対策…赤字の商品や得意先から撤退するようにマイナスを切ること。 あれこれ抱え過ぎたままでは改善が進まない。思い切って捨てる、やめる、 という選択肢を選ぶことでリスクを軽減するもの。 ⑵改める対策…表面上や小手先の対策ではなく、原因を深く掘り下げた上で 根本のところに改めて対策を講じる。従来の枠にとらわれない着眼により、 リスクの根っ子にくさびを打ち込むこと。 ⑶加える対策…最悪の場合を想定した上で、今までは行わなかった新発想の リスク対策を新たに付け加えること。異業種や他分野で行われていることを 導入したり、新技術を付加するなど一歩踏み込んだ対策を講じる。 経営危機に面したT社は、まず不採算の部門を閉鎖し、人員削減を行い、黒字 の体重計事業をさらに増強すべく、都心から地方に主力工場を移し、コスト縮減、 従業員の若返りを果たした。測定値をデジタル表示に改め、さらに新しい機能の 「体脂肪測定」を付加し、業界初の新名称「ヘルスメーター」として躍進した。 |
〈今回のまとめ〉「悲観的に準備して、楽観的に動く」
リスク管理の鉄則は「悲観的に準備して、楽観的に動く」こと。見えたリスク に対し、最悪の場合を想定し「捨てる」という思い切った対応策を講じる。 その上で「活かすべき強み」に磨きをかけ、更に従来の枠を超える新しい価値を 加える手を打つ。直面したリスクを早目に真摯に受け止め、それをキッカケに、 かえって良くなれるような「改める」「加える」対策を実践することだ。 |