伸びる会社、伸ばす経営
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作成日:2017/02/01
【第6回】危ない経営者⑷「イバリ屋の頑固者」



 4番目に危ないのは「イバリ屋の頑固者」と呼ばれ、創業社長に多く見られる
タイプである。自信に満ち溢れ、迷わずゴーイング・マイウェイなのは良いが、
他人の意見に耳を傾けることが少ないため判断ミスを招き、軌道修正が効かない
まま突っ走ってしまい、事故を起こすことになりがちだ。

 それなりの成果を生み、成功体験を積み重ねる中で自信をつけ、やがて過信と
なり、「唯我独尊」の性格特性を作り上げてしまう人は要注意だ。自惚れ状態に
陥ることで「情断(情報の断絶)」を招き、いわゆる「裸の王様」になり、自分の
過ちに気づかないまま、悪い結果を生むようになってしまうのである。

 ただ、創業社長は苦労人が多いため、たとえ威張っていたとしても人心の把握
には長けている。ところが二世経営者はそれが苦手なために、このタイプの場合
には根の深いトラブルがよく起きる。あるメーカーで副社長のやり方に反発した
幹部社員らが、ストライキ(職場離脱による要求闘争)を起こした。

 具体的な内容は「副社長をクビにしてくれ」という極めて辛辣なものであった。
聞けば、副社長は亡くなった創業者の長男であるが好き嫌いの激しい人で、自分
に耳障りな意見を言う人物を特に嫌った。1度そんな発言をした部下にはその後
見向きもせず、コミュニケーションを取らなくなったらしい。要は「イエスマン」
を好み、そういう人物とだけ話すという徹底ぶりだった。

 情報や意見の正誤でなく、自分の好みを優先する情緒的「イバリ屋の頑固者」
であり、反対意見を堂々と述べる自立幹部を退け、ベンチャラ人材を求めたのだ。

その基準から外れたメンバーが会社と自分の将来を憂え、やむなく取った行動で
あった。先代が育てた優秀な幹部陣からの要求であったので、つなぎ役の2代目と
なっていた母親は苦渋の選択を行った結果、息子の副社長を解任したのである。

  〈今回のまとめ〉「自信と謙虚さ」
 油断大敵と言うが「情断」はもっと怖い。正しい情報が入らなくなり、誤った
意思決定になるからだ。自信を持って事に臨むことは素晴らしいが、常に謙虚さ
を忘れず他人、顧客、第三者の意見を集めることも大事。いつも「どうしよう」
では困るが、「私のやり方に従え」ばかりでは欲求不満がうっ積し、文殊の知恵

が働かない非効率な組織になってしまう。健全な「衆知独裁」を心がけよう。
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