作成日:2020/06/01
【第46回】3拍子の対策〈風土改革〉⑵「活力」
ウイルスに打ち克つ免疫力と同様、経営の現場における不調を克服するには「活力」に 満ちた風土づくりが欠かせない。具体的には「権限委譲、信賞必罰、意思疎通」の3拍子 を充実することであり、各々のカン・コツ・ツボを知り、実践することである。 1.権限委譲 権限を与え、一段高い立場の職務に就かせることで社員のやる気を高揚させること。 特に能力の120%を要する仕事にチャレンジさせ、潜在能力の開発につなげることが大切 である。もちろん、権限と同時に責任を持たせ、成果に基づく評価をシビアに行い、それ を処遇にリンクさせるプロフェッショナル制度の導入も忘れてはならない。また、一度や 二度の失敗に目くじらを立てず、教訓として次に取り戻させるような「チャレンジ優遇」 の評価も欠かせない。「任せて、育つ」人事制度づくりを同時に進めることである。 2.信賞必罰 「任せて、任さず」と言われるように、権限を委譲しても上司としての責任はなくなら ない。適時適切に部下の仕事を評価し、「叱る、褒める、教える」という指導のフォロー アップが求められる。基本は「2つ叱って、3つ褒め、5つ教えて良き人とせよ」であり、 タイミング良く対話することが大事だ。そのため「手を離しても目を離さず」が決め手と なるが、多忙の中では部下に対し「報告、連絡、相談」を督促し、継続させることである。 「任される=好き勝手にやる」ではないことの共通認識が前提であり、「放ったらかし」 では真の活力は生まれない。報連相システムをセットアップし、習慣化させよう。 3.意思疎通 報連相を筆頭に、コミュニケーションが縦横無尽になされるうように工夫すること。 これこそが活力みなぎる風土のインフラとも言える重要項目である。上で述べたように、 権限委譲も信賞必罰も、意思疎通が未整備の組織では、根づかないどころか逆効果にも なりかねない。「賃金制度を変える」と言っただけで社員のヤル気が低下してしまう会社 がある。普段からの意思疎通が良ければ信頼関係ができているが、それが希薄な組織では どんな改革もアダになりかねない「不信感」という地雷が埋まっているからだ。 |
〈今回のまとめ〉「ヤル木を育てる土壌」
ヤル木(やる気)を育てるための土壌は「任せる、フォローする、信頼を育む」という 人事制度とコミュニケーションによって造られる。その比率はおおよそ70:30であり、 これを「そろばん7割、人間関係3割」と言う。いくら「お世話になった」と思っても 損得勘定・そろばんが合わない処遇だと思えば、やる気、活力の向上は難しくなる。共 に業績向上に貢献し、成果を分け合うという「会社の原点」を見失わないことである。 |